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獅子と牡丹とお釈迦さま

jihou15 no1

立てば芍薬
座れば牡丹
歩く姿は百合の花

 

皆さんも一度は聞いたことのあるフレーズではないでしょうか。国語辞典には〝美しい女性の容姿や立ち居振る舞いを花にたとえて形容される。芍薬はすらりと伸びた茎の先端に華麗な花を咲かせ、牡丹は枝分かれした横向きの枝に花をつける。百合は風を受けて揺れるさまが美しい。〟とあります。本覚寺では本年も大輪の牡丹の花が境内を彩りました。さてお寺で牡丹をよく見かけるのには意味があります。お釈迦さまが入滅して500年程するとお釈迦さまの教えを形にしようと仏像が建立されます。その中で釈迦如来は獅子王と称し、お釈迦さまは人中の獅子であるとされました。獅子は百獣の王です。獅子の声に動物たちがみな恐れをなし、ひれ伏します。これになぞらえて、堂々とお話しするお釈迦さまの様子や、その教えを聞いて邪悪な心を持った人が恐れている様子を師子吼と言います。師子吼は本来お釈迦さまの説法を表す言葉です。ご本尊さまの座る席を獅子座と呼びますが、これはご本尊さまの座席は〝いかなる怨敵もこれを侵すことができない席である〟と言うことを表しています。寺院では狛犬のように獅子を一対にして、お寺を護るように祀ったりします。大本山永平寺の法堂には4匹の獅子が鎮座しています。法堂はお釈迦さまの教えを学ぶ場所ですからお釈迦さまのみ教えを象徴として表わしているのとお釈迦を迎える須弥壇をお護りしているのです。牡丹の花は豪華なので、中国では花王と賞されています。つまり草花の王様です。牡丹は中国の国花とされていた時代もあり、詩歌で詠まれ絵画に描かれ愛でられてきました。百獣の王といわれる獅子にも弱みはあって、身体に寄生する虫によってその命をも脅かされることがあります。これが〝獅子身中の虫〟といわれるものです。どんなに大きく力のあるものでも、内部の裏切りから身を滅ぼすことにもなりかねない、という意味で使われますが、その〝獅子身中の虫〟を活動させないためには薬になるものを飲まなくてはなりません、その薬となるものが牡丹の花に溜まる夜露です。なので、獅子は牡丹の花から離れられないと言われています。お釈迦さまは獅子王と呼ばれその場所を百獣の王と草花の王が見守っているのです。なんとも頓智のある趣向ですよね。牡丹は来春に向けて先代住職が丹精込めてお世話をしております。そんな大輪の花に見劣りしないように私もお釈迦のみ教えを皆様に伝えられるよう精進してまいります。

本覚寺寺報第15号